詩の日めくり 二〇一七年四月一日─三十一日/田中宏輔
てきたのだけれど、カウンターのなかで洗い物をしていた従業員のいさおさんが、「売春婦のことですよ。」と間髪入れずに答えてくれたのだった。すると、えいちゃんも、「思い出した。聞いたことがあるわ。」と言ってたのだけど、ぼくは、「そうか、ぼくが子どものときは、よく耳にする言葉だったけどね。あの女、ぱんぱんみたいって言うと、パン2つでも、おまんこさせるって感じの尻軽女のことを言ってたんだけどね。」と言うと、いさおさんが、「ぼくは違うと思いますよ。パン2つで、じゃなくて、これですよ、これ。」と言って、洗い物をやめて、くぼめた左手に開いた右手をあてて、「パンパン」って音をさせたのであった。「そう? 音なの?」っ
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