詩の日めくり 二〇一七年四月一日─三十一日/田中宏輔
」って、ぼくは、自分が聞いた話と違っていた説明に、「なるほどね。セックスのときの音ね。気がつかなかったけれど、なんか納得するわ。」と言った。どちらがほんとうの「ぱんぱん」の説明かは知らないけれど、終戦直後にはよく街角に立っていたらしい。つい最近もツイートで、写真をみたことがある。ぱんぱんと思われる女性が街角に立って、ちょっと背をかがめて、紙巻たばこを口にくわえて、紫煙をくゆらせていたように記憶している。ぱんぱんか。ぼくの父親は昭和11年生まれだったから、じっさいに、ぱんぱんを目にしていたかもしれないな。いや、きっと目にしていただろう。文学は記憶装置だと、きのうか、おとついに書いたけれども、じっさい
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