彼女の明るさ/末下りょう
 
くというこだわりを持っていた。
彼女は少し戸惑いを見せる素振りをして、胸の名札をネイルで弄りながら 分け隔てのない明るさで彼の申し出を受け入れてくれた。
平等にケーキを切り分けることは素晴らしいことだと彼は改めて思った。


二人は連休三日目の夜に駅前の靴屋の前で待ち合わせをして、路地裏に店を構える、閑散とした焼肉店の四人がけに座り、看板メニューの塩タンを山ほど注文してウーロン茶を沢山飲んだ。

はち切れんばかりの腹を抱えて店を出ると、ブランコと滑り台しかない小さな公園の方から花火をする音が聞こえてきて、彼女は夜空を見上げて花火の光を探したけれど何処にも見つからなかった。

身体
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