カオス・アンド・ディスオーダー/ホロウ・シカエルボク
 
、夏に起こるすべてはまぼろしのようだ、それがもっともおさまりのいい実感であることを俺は知っている、まぼろしの実感、まるでゴダールの映画のようだが、俺に言わせればそれがこちら側の真実というやつだ、新しい詩が書きたい、いままでずっと使ってきた言葉で、いままで一度も書いたことがないような詩を、思えばいつもそんなことばかり考えているような気がする、それがきっと日常のあらゆるもののフォーカスをぼやけさせるのだろう、真実は分かる、けれど、現実は分からない、そういうことだ、高架を電車が通り過ぎる、穏やかな戦争のような振動、アスファルトの照り返しで視界はいつだって揺らいでいる、死の直前のような景色、夏は威勢のいい
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