ひょうはくされる切符/帆場蔵人
 
蔦はまだ血管であった名残りを残していて
砂になろうとしている口や白壁から覗く舌が

ゆるされないことばかりつくしてひにんのはてに

はじまらないひとよひとよ ひとよにひとみごろし
うめたのはじぶのひみつでなく たにんのひみつ はなどろぼう
はかあらし はかあらまし あらしはたいじょうほうしん
しんしんとしんけいつうわできますから しらないばかり
するされないことばかりつくしてひにんのはてに

はじまらないひとよひとりひとよにひとにごらし……

いちわの百舌がしんでいるこいつはなにを囀ったのか
俺の舌は蔦たちの遺言をよみとろうとしてこんがらがる
落とした右眼がみているも
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