ひょうはくされる切符/帆場蔵人
 
るものが違う世界を示唆していた
虚実を地層と壁にしていくのはことわりなのは周知の
通り、ダイヤ通りなら始発列車がもう来るはずなのだ
俺はそれを写してこの虚実の層を厚く、壁を鮮やかに
虚飾する、自覚的に飾りつける、旅を続けるためには
いくばくかのかねがひつようだからかだ、その筈なのだ

呆けた壁、呆けた砂、そんなものに足を取られる

流 砂 のあ わ いをぬけ て いく列車の繰 り返す
ダ イヤ を描き続け る職人がま たひと り身を投げた
あ  はれあは れわれ るやは  れ るやんごと な

夜をさすらう巨人たちのあしあとすらきえさり
呆けた砂に足を取られる、白壁の蔦がぶちりと
血を散らして、涙よ、砂にのまれてきえるのか

行く方知れずをたずねてはひとり壁に頭おしつける
いくばくかのかねをにぎりしめさまよいまようばかり
俺の部屋、しろすぎる光量に酔いながら、まだひとだ

壊れたカメラ右眼が渦巻きながら朝を俺は嘔吐した
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