ごく限られた世界の夜から昼への移動距離を並べて/ホロウ・シカエルボク
 
は賢い行為だとは思えなかった、教えてくれる過去は必ず知らない間に身体に植え付けている、取り立ててこちらから動くような必要などない、そういうものじゃないか、長い夜だった、二度と明ける時は来ないのではないかと不安になるくらいの長い夜だった、おまけにあちこちに掛けた服はおよそ乾いたとは言えなかったがそれでもここに潜り込んだ時よりはずっとましだった、少なくとも家に帰るまではこれで我慢しようという納得だけは出来た、俺はなにも文句を口にしなかった、これはずっといい方なのだ、ツイていたと思うべきなのだ、顔を洗い、鏡で髪の毛を直してから、古代の城門を思わせる大げさな金属の鍵を持ち上げて外へ出た、朝早い公園にはまだ
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