日曜日の処理場/空丸
 



  無風


日が暮れ また陽が昇る
あたりまえのことに心が向かうとき
もう怒りはない
風もない

逸れた鳩がじっとしている
群れに戻れるだろうか
気にかけながら通り過ぎる
通り過ぎてばかりだ

日記に「特になし」と書いた一日が
一番思い出深い
確か木曜日だったか
雨は降ってなかった


  余韻


ある朝 巨大な鐘が一つ 宇宙に鳴り響いた
全貌は骨片になって ――

今 瞼の裏で舞っているのは何だろう
桜だろうか 雪だろうか
今 土の下に眠っているのは何だろう
人の死体か 私の記憶か

死体から死が どんどん遠ざかってい
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