詩の日めくり 二〇一六年二月一日─三十一日/田中宏輔
うは一行も読んでいない。数学もまったくしていない。ただただ傷みに耐えて、横になっていた。こころを癒してくれたのは、SF小説の本のカヴァーの絵たちである。ぼくの部屋の本棚に飾ってある本は、安いものだと、300円くらいだ。高くても、文庫なら、せいぜい1000円くらいだ。ブコウスキーの単行本『町でいちばんの美女』と『ありきたりの狂気の物語』は、両方ブックオフで105円で買ったものだ。また、アンソロジーの『太陽破壊者』も105円だった。もちろん、値段ではないのだ。絵のセンスなのだ。写真のセンスなのだ。しかし、その多くのものが安かったものだ。おもしろい。ぼくは安い値段のものを見て、こころおだやかに、こころ安
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