詩の日めくり 二〇一六年二月一日─三十一日/田中宏輔
 

free
「ぼく、この曲
 好きなんだよね。
 いいでしょ?」
大黒のマスターが苦笑い。
「はいはい。
 あっちゃんの好きな曲ね」
メガネの奥が笑ってないし、笑。
be
free
「これって
 スクリッティ・ポリティも歌ってなかったっけ?」
彼女の手のひらのサイズの
郵便切手
エナジーにみなぎる
カーセックス
ぼくは、彼が
彼女とカーセックスするって知らなかった。
「なんで同じシーンが繰り返されるの?」
大学でもそうだった。
友だちは
彼女のことよりも
ぼくのことのほうが好きだって
思い込んでた。

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