死後硬直の夢/ホロウ・シカエルボク
ところとやらに向かうことが出来るだろうか
消えてなくなることにとらわれるあまり
そこからどこにも行けないのではないだろうか
空は雨を落とそうかどうか迷っているみたいに
少しずつ灰色の雲を増やし始めた
すでに表札が外された部屋の中で
悲しみのかけらたちも、やがて
もう…
拘束され
薬を注射された
冷たいベッドの上で
ナギサは目を開けたまま夢を見ている
緩く閉じたカーテンから垣間見える夜空が
逃れようもないものを突き付けてくる
ここはどこだろう、私はなぜこんなところで縛り付けられているのだろう、お姉ちゃんが信じられないような残酷な終わりを選んだというのに…私
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