詩の日めくり 二〇一六年一月一日─三十一日/田中宏輔
 
と恋人がいっしょだったのだけれど、顔がはっきりわからなかった。ちゃんと顔を見せろよと言って、顔を上げさせたら、ぼくの若いときの顔でびっくりした。暗い部屋で、「見ない方がいいよ」と言って抵抗するから、かなり乱暴な感じで、もみくちゃになって格闘したんだけど、ぜんぜん予想してなかった。髪が長くて、いまのぼくではなくて、高校生くらいのときのぼくだった。無意識領域のぼくは、ぼくになにを教えようとしたのか。けっきょく自分しか愛せない人間であるということか。それとも高校時代に、ぼくの自我を決定的に形成したものがあるとでもいうのか。もうすこし、横になって、目をつむって半睡してみようと思った。しかし、無意識領域のぼ
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