常にこめかみにあてられた銃口が囁いている/ホロウ・シカエルボク
えば違う、そんな些細な体感が果てしなく続いていく、知ろうとしなくなった、悟りなど一過性のものでしかない、それにとらわれるともう同じものしか生み出せなくなる、イズムにがんじがらめ、そんなやつは珍しくない、余計な靴を履けばどんなに懸命に脚を動かしても走るのは遅くなる、そういうことだ、なにか、車の盗難防止用アラームのような声で鳴いている鳥が飛び去って行く、夜を彷徨う鳥たちの声はなぜこれほどに忘れられない?寝返りを打つと俺にしがみついている誰かの腕が見える、それは現実的な質量ではない、便宜的にそういった姿でここに現れているのだ、からくりを知っていたって逃れられるわけじゃない、むしろ、見えるほどに厄介なもの
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