常にこめかみにあてられた銃口が囁いている/ホロウ・シカエルボク
 
ものになる、時々は阿呆のように聞き分けのいい連中のことを楽だろうなと思いもするけれど、そんな人生を歩く自分を想像するだけでゾッとする、もう一度寝返りを打つと腕は死体のそれのように俺の胴からぱさりと落ちた、そしてそれきり見当たらなくなった、あれはきっと記憶の中から零れ落ちてきたものだろう、気まぐれに目を閉じてみたが睡魔はやって来なかった、もう一度目を開くと漆黒はさらに濃度を増したように思えた、世界はまれに襲い掛かって来る、俺はその瞬間をいつも知っている気がする、寝床に居る時には特に…子供の頃、天井が自分を喰らいに来ると信じていた、それは天井などではなく、天井に擬態したなにかなのだ、随分長いことそう信
[次のページ]
戻る   Point(2)