詩の日めくり 二〇一五年十一月一日─三十一日/田中宏輔
った。数十分、ぼくは、ケイちゃんと、ぼくを坐らせたあと、ふたりの姿を、いまはもうなくなった、出入口。阪急電車の。高島屋の向かい側。西北角。コンクリートの階段。そこから除く。ふたりの姿のない、たくさんの足が通り過ぎていく風景を、もうしばらく置く。足元をクローズアップしていく。足音が大きくなっていく。プツンッと音がして、画面が変わる。ふたりの姿があったところにタバコの吸い殻が捨てられ、革靴の爪先で火が揉み消される。数時間後の風景を添えてみたのだ。架空のものの。(『13の過去(仮題)』の素材)あちゃー、現実だけをチョイスするんだった。タバコの吸い殻のシーンは除去しよう。読書に戻る。
シャーリイ・
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