詩の日めくり 二〇一五年十一月一日─三十一日/田中宏輔
浮かべながら寝よう。ぼくが唯一、知ってるのは、知ってると言っても、文献上だけれど、『ユダヤの黄色い星』というアウシュビッツなどで行われた拷問や虐殺の記録写真集だけれど、死刑囚にユダヤ人たちを殴り殺させたものだ。あ、人身売買だけれど、戦前はふつうにあったことなのかな。父親からの伝聞で確証はないんだけれど、あったのかもしれないね。しかし、貴重な伝聞事項であった。犯人にアルミの石鹸箱を用意させよう。祖母の遺品とすればいいかな。むかし付き合ってたヒロくんといっしょに見た『ヘル・レイザー』がなつかしい。血みどろゲロゲロの映画だった。きょうの朝、きょうの昼、きょうの夜と、頭のなかは、『詩人連続殺人』または『詩
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