詩の日めくり 二〇一五年十一月一日─三十一日/田中宏輔
 
。BGMはずっとギターのインスト。高橋都彦さんの訳された『不安の書』のうしろにある解説や訳者の後書きを読んでいた。この解説によると、ペソアもそう無名ではなかったみたい。新聞にも書いていたっていうから、無名ではないな。無名の定義か。なんだろ。生きているあいだにまったく作品が世のなかに出なかったということでいえば、たしか、アメリカの画家がいて、部屋中にファンタジーの物語にでてくる人物たちを描いてた人がいたと思うけど。名前は忘れてしまった。その人が亡くなってはじめて、その絵が発見されたっていう話を、むかし読んだことがある。その人は、描くことだけで、こころが救われていたんだね。なんという充足だろう。きっと
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