詩の日めくり 二〇一五年十一月一日─三十一日/田中宏輔
る。真夜中だ。だれも警察に通報しなかった。なぜだか知らないけれど。府立資料館のまえの道を歩きながら、その少年が自販機を蹴りまくっていたことを憶えている。ぼくたちは、ぼくとジミーちゃんは、居酒屋からの帰り道、ヨッパの状態で、それを見てた。不思議だった。月明かりのしたで、ぼくと、ジミーちゃんと、その少年しか道にいなくて、その少年が自販機を蹴りまくる音が道路に響き渡っていたのだった。バンバンという大きな音がしているのに、だれも外に出てこず、警察にも通報せず、という状態だった。ぼくと、ジミーちゃんは、そのあと、たぶん、ぼくの部屋で、飲みのつづきだったと思う。このエピソードは、『13の過去(仮題)』に入れる
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