詩の日めくり 二〇一五年十月一日─三十一日/田中宏輔
 
る)を使おう。腹立つ。

 いや、このままでいいや。あした罫線のない無地のルーズリーフを買ってこよう。それをラフスケッチに使おう。SFでいいや。いまダイエットしてるから食べ物の写真で自分をなぐさめようとしたけど、ホルダーに入れてるSF小説の文庫の表紙の絵で十分なぐさめられる。


二〇一五年十月十一日 「「ぼく」という言葉」


「私は滅びない」とホラティウスは書いた。「私は滅びる」と、ぼくなら書くだろう。「私という言葉は滅びない」としても。

「ぼく」という言葉を何回書いても、「ぼく」には到達できない。なぜだろう。「ぼく」はいつまでも、「ぼく」ではないのかもしれない。


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