詩の日めくり 二〇一五年十月一日─三十一日/田中宏輔
 
「13の過去(仮題)」


 忘れてばかりいる。思い出してばかりいる。思い出すためには、忘れていなければならない。ふつうは故意に忘れることはできないし、ふつうは故意に思い出すこともできない。個人的なことがらを詩のなかに紛らせておくと、あとで読み返したときに個人的な記憶がよみがえることがある。それがぼくの詩だ。作品化していない思い出もあるけれど、それも順次、書いていくことになるだろう。『13の過去(仮題)』は、過去の記憶をできるかぎり忠実に再現していって、書き込んでいくことにしているので、そこでまだ詩にしていない思い出を書いていくだろう。楽しみにしてる。東大路通りから清水寺にのぼるとき、細い狭
[次のページ]
戻る   Point(15)