あなたはただ佇んでいる、それがわたしには心地好い/ホロウ・シカエルボク
を訪ねる必要はない、そういうものだ、別に、そんな時代のほうがよかったとか、いまのほうが幸せかもなとか、そんなことを考えているわけじゃない、ただそういった光景を思い浮かべるのは妙に癖になるというだけの話だ、幸も不幸も、社会的水準に則って考えるならたいしたものにはならない、ゆっくりと終わった区画を歩き終えて、コンビニで買物をして部屋に帰った、なぜ自分が、来たこともないこんな辺鄙な街を選んだのか、おそらくはあの通りを見るためだったのだろう、そんな気がした、それが真理かどうかはどうだっていい、俺がそんな風に物事を考えるのが好きだというだけの話だ、貯金はまだだいぶん残っていた、慌てて仕事を探すことはない、な
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