同一テーマにおける3つの変奏「てがみ」/すいせい
とめてくれるだろう
知らない曜日
誰かが日曜日を盗んで
水門を流れる水は
きっといちだんと輝いた
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ゆきまじりの風が
祈るように丘にふく
みじろいで咲く
小さなしろいろの手に結ばれた日曜日
ゆれる
背の軋む音を頼りに
ぬかるんだ道を静かにのぼる
似たような空鏡、みあげても
足をつけたつめたさにひるがえる
そうする他なかった
花梨の守り実が落ちた
たくさんの日曜日が泣いている
はたされなかった約束と
父に似た花梨
ころがり照る日のひかりに
どうか雪を溶かしておくれ
香り曳く
爪にこびりついた黒土に
水脈の絶
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