詩の日めくり 二〇一五年二月一日─三十一日/田中宏輔
 
ると思った
ここで
彼はわたしだ
あの女はわたしだ
って書けば
ジュネが書いてたことの盗作になるのだけれど

ジュネはそこでまた
書くと言う行為について疑問を持ったんじゃなかったっけ
持ったと思うんだけど
ぼくは別に
そんなことは思わなかったし
彼はわたしだ
とか
彼女はわたしだ
なんてことも思わなかったのだけれど
いや
ちらっと思ったかな
ジュネの文章を
むかし読んでたしぃ
でも
おそらく
そのときは
ただ単純に
みんながぼくに似ていることに気がついて
笑ってしまったのだった
声に出して笑っ
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