詩の日めくり 二〇一五年二月一日─三十一日/田中宏輔
れる
白い壁の家々が建ち並ぶ町がある。
屋根の色だけはいろいろだったかな。
白い壁の家々は地中海に面したところにもあったような。
テラコッタ。
横たわるぼくの顔の上で
そこらじゅうに
喩がふらふらと浮かび漂っていた。
横たわる喩の上で
そこらじゅうに
ぼくの自我がふらふらと浮かび漂っていた。
無数の喩と
無数のぼくの自我との邂逅である。
目を巡らして見ていると
一つの喩が
ひらひらと、ひとりのぼくの目の前にすべりおりてきた。
ぼくは、布団から手を出して、
その喩を待ち受けた。
すると、その喩は
ぼくの指の先に触れるやいなや
ぼく
[次のページ]
戻る 編 削 Point(14)