詩の日めくり 二〇一五年二月一日─三十一日/田中宏輔
 
ァリン嬢をガリガリと噛み砕いては
大量の錠剤の欠片を、水なしで
口のなかで唾液で溶かして飲み込んだ。
それから自分の左手首を先のとがった包丁で切ったのだった。
真・善・美は一体のものである。
ギリシア思想からフランス思想へと受け継がれた
美しくないと真ではないという想い。
これが命題として真であるならば
対偶の、真であるものは美である、もまた真であるということになる。
バラードの雲の彫刻が思い出される。
ここで白旗をあげる。
喩あたりしたのだろうか。
それとも、クスリが効いてきたのか
指の動きがぎこちなく、かつ、緩慢になってきた。
安易な喩に引
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