詩の日めくり 二〇一五年二月一日─三十一日/田中宏輔
 
ァリン嬢の思い出とともに)」

あたたかい喩につかりながら
きょう一日の自分の生涯を振り返った。
喩が電灯の光に反射してきらきら輝いている
いい喩だった。
じつは、プラトンの洞窟のなかは光で満ちみちていて
まっしろな光が壁面で乱反射する
まぶしくて目を開けていられない洞窟だったのではないか。
洞窟から出ると一転して真っ暗闇で
こんどは目を開けていても、何も見えないという
両手で喩をすくって顔にぶっちゃけた。
何度もぶっちゃけて
喩のあたたかさを味わった。
miel blanc ミエル・ブラン 見える ぶらん
白い蜂蜜。
茣蓙、道標、熾火。
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