詩の日めくり 二〇一五年二月一日─三十一日/田中宏輔
血液からクローンがつくられたらしい。処刑されたあと、イエス・キリストの遺体は火葬されたので復活することはなかったのだが、信者によるイエス・キリストのクローニングはふたたびなされるだろう。あるいは、また、このようなうわさもある。四条河原町で処刑されたイエス・キリストは、じつはホムンクルスだったというのだ。では、あの槍に突き刺されて流れ出た真っ赤な血はなんだったのか。ホムンクルスならば、銀白色の霊液をしたたらせたはず。しかし、そこには術師である幻覚者がいて、見物人たちに幻の真っ赤な血潮を見させたというのだ。強力な術師ならば、それも可能であったろう。いずれにせよ、あのイエス・キリストはオリジナルではなく
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