詩の日めくり 二〇一四年十三月一日─三十一日/田中宏輔
 
東寺・招待券」という文字を確かめてから
綾小路くんの手に戻して
「行ったらええんとちゃう?
 綾小路くん 
 行ったら
 綾小路くんの文学や哲学が深くなるで。
 裸で勝負してる人間を見るんや
 きっと
 綾小路くんが大きくなるで
 あそこも
 こころもな。」
「そうですか?」
「そうや。」
「じゃあ、
 もらっておきます。
 でも行かなくてもいいんですよね?」
「そら好きなようにしたら
 ええけどな。
 行ったら
 綾小路くんが
 深くなるで。」
と言ってから
ぼくは
大谷くんに
「ねえ
 ねえ
 大谷くん
 その山本さんて
 何者?」

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