詩の日めくり 二〇一四年十三月一日─三十一日/田中宏輔
 

って訊くと
「いつも行く居酒屋さんでしょっちゅういっしょに飲んでる
 元ヤクザの人なんです」
「へえ
 その人
 いいひとなんやなあ。」
とぼくが言ったら
「いまは
 いいひとですよ。」
「その飲み屋って
 どこにあるの?」
「ぼくの住んでるマンションの前。」
「どんな店?」
「食べ物
 なんでも300円なんですよ。」
「へえ
 おいしいの?」
「おいしいですよ。」
「そやけど
 そのひととの関わりなんて
 なんか
 青春モノの映画みたいやなあ。
 いや
 人生が映画のようにすばらしいのか?
 うん
 人生は映画のようにすばらしい。
 あるいは
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