まるでうまくいかない/ホロウ・シカエルボク
うしてそんなものを引き摺っていたのか
どんなに考えても思い出すことが出来なかった
大事なことだと教えられた気がするが
どちらにせよもう意味をなさなくなっているだろうと感じた
温室を出た、するとすべてが一瞬のうちに燃えた
振り返るとだだっ広い更地が広がっているだけだった
少し歩いたところで見つけた小川で美しい女が水浴びをしていた
おれを見ると親しい知り合いを見つけたような顔をして
川から上がり濡れたまま近寄ってきた
「ずいぶん遅かったのね」
おれは愛想笑いをして無遠慮に彼女を眺めた
「どうやら間に合わなかったのかな」
まあ、と、女はどちらにも取れる調子で答えた
「意味な
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