まるでうまくいかない/ホロウ・シカエルボク
 
味なんてハナからどちらでもかまわないように出来ているのよ」と言った
わからない、とおれは首を横に振った
わかるとかわからないとかではない、と女は諭すように言い
「面倒臭ければなしでいいし、そこに何かを求めたいなら付け足せばいい」
「どちらにせよそれはただの現象に過ぎないのだから、自分で選択すればいい」
そう言いながら女はおれの腕を掴んで川へと誘った
川の流れは見た目以上に速く、おれはあっという間に流されてしまった
水の間から女がこちらに手を振っているのが見えた

川から上がった瞬間、おれはそこを墓地だと思った
十字架が無数に突き立てられているのが見えたからだ
けれど表に回って
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