まるでうまくいかない/ホロウ・シカエルボク
 
ぜか思い出されて
歌詞をごまかしながら少し口ずさんだ、それきりもうどうでもよくなった
朽ち果てた豪邸の温室に潜り込んで亡骸をガーデンテーブルに寝かせ
チェアーに身体をあずけて少し仮眠を取った
居心地のよくない夢を見てすぐに目覚めた
たぶん二十分も経っていないだろう
時計のようなものはこれまでに一度も目にしていなかった
時間という概念が存在しない、あるいは
馴染みのあるそれとはまるで違う
ぼんやりとした流れだけが存在しているようなそんな感じがした
テーブルの上で亡骸はドライフラワーのように枯れた
もうこれ以上引き摺っても仕方がない
ここに置いていくことにした
そもそもどうし
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