詩の日めくり 二〇一四年七月一日─三十一日/田中宏輔
ートにコレクションして読んだ数十人の詩人や作家のなかでも、もっとも知的な書き手で、ヴァージニア・ウルフを完全に超えているなと思っている数少ない物書きの一人である。「ああ、ぼくは大丈夫だよ。ようやく大丈夫になるさ。心配しないでくれ。それから見舞いには来ないで。G・K・チェスタートンの言葉にこういうのがあっただろう。?人生を決して信用せず、かつ人生を愛することを学ばねばならない?。ぼくはとうとう学べなかった」(『原罪』第四章、青木久恵訳)これはエイズで亡くなる直前の作家の言葉として書かれたものだけれど、ぼくは、いまこの言葉を書き写しているだけでも、涙がにじんできてしまった。P・D・ジェイムズ。けっして
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