詩の日めくり 二〇一四年七月一日─三十一日/田中宏輔
二〇一四年七月三日 「ピオ神父」
日知庵(にっちあん)に行く前に、カトリック教会の隣にあるクリスチャンズ・グッズの店に立ち寄った。 ピオ神父の陶器製の置物が10260円だった。 値札が首にぶら下がっていたのである。 キリストも、マリアも、神父さんも、みな首に値札をぶら下げていたのであった。ピオ神父、10260円か、税込みで、と思った。ちょっとほしくなる陶器製の置物だった。そのクリスチャンズ・グッズの店の前に、太ったホームレスのおじいちゃんがいた。店ではぜんぜん気にしていないみたいだった。入口のドアの横で堂々と寝そべっていた。それにしても、やさしそうな顔のおじいちゃんだった。
日知
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