飴色の雨/月夜乃海花
なに綺麗だったシャボン玉色の雨は紅く染まっていた。
「誰もいない」
「ねぇ、誰もいないの。」
少女は私を見つめる。
「あのね、みんな居なくなっちゃった。」
少女の眼からは涙が溢れる。
それは先ほどの彩色の雨色だった。
嫌なほど、綺麗で純粋な水音が聞こえて、
気づけば声をかけていた。
「大丈夫。耳を澄ませて。ほら、鐘の音が聴こえるだろう?」
無言で頷く少女。
「このビィドロを吹いてごらん。きっと君の兄上も見つかるから。」
「これはなあに?」
「魔法の小細工さ。皆んなが幸せになれる魔法。」
「魔法?」
「そう、これを吹くと綺麗な心を持っていれば気付くんだ。
だから大
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