飴色の雨/月夜乃海花
ら大丈夫。行きなさい。」
何色ともいえないビィドロを少女に持たせる。
少女は笑顔を見せると遠くのトンネルの方に駆けて行った。
「あーあ。また、逝ってしまったよ。」
傘を閉じて空を見つめる。
公園に現れる子供を慰めて、
ただ綺麗なところに行かせる。
それだけの為に私はここに居る。
最後の雨くらい綺麗なものを見せたいだろう。
「せめて、あの子には米でも持たせりゃよかったかねぇ。」
誰も聞いてない独り言を雨は聞いているのだろうか。
今日もまたビィドロが鳴り響く。
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