羊たちの烙印/ホロウ・シカエルボク
 
ぬことを思うのは当然のことではないのか?もちろん、思い方にもいろいろとあるだろうけどー俺はほとんどの時間を死を感じながら生きている、夕飯の献立を思うような調子で、さまざまな形での死のことを思っている、いろいろな人間がいなかったことになって逝ってしまった、いなかったという存在は上書きされることがない、もちろん、死ぬものにとってそれがどういうものなのかなどということはいまの俺にはまだ理解することが出来ない、魂が抜けたいれものはもうそいつ自身ではないような気がした、だからいつも黙って見つめていた、もちろん触れてもみた、でもそれは蝉の抜け殻を拾うのとほとんど同じ感触だった、死がすべてではない、そしてもちろ
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