羊たちの烙印/ホロウ・シカエルボク
 
うろついていた、理由がなくなったのかもしれない、ぼんやりとそんなことを感じていた、もちろん、そんなものを四六時中抱えて生きている人間など居ない、もしもそんな奴がいたとしたらあっという間に気がふれてしまうに違いない、人生、あるいは運命はそいつの行動指針に合わせて形を変えてくれたりはしない、もしも自分の周辺に自分が思うように状況が変化してくれるなんて考えている人間がいるのならそんな人間は相手にしないでおくのが一番だ、そいつは理解出来ていない、まだ自分が母親の乳首をくわえたままでいるようなものだということを…ところで死だ、死を思うことは異常だという話だ、俺にとっちゃそれは妙な話だ、生きているのなら死ぬこ
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