BURN/ホロウ・シカエルボク
 
俺は持ち上げていたほうの腕でそいつを弾き落した、その一撃が虫どもの慈悲を奪ったらしい、全身に切り刻まれるような痛みが次々と走った、そしてそのあとに痺れがやって来た、毒を持っているものがいたらしい、目が霞み、呼吸がままならなくなった、そのうちに嘔吐感もやって来た、こんなところで戻したらお終いだ、この無数のおぞましいやつらがあっという間に身体の中に入り込むだろう―皮肉なことにその吐気が俺の神経を正しい方向に導いた、この海の中で力尽きるわけにはいかない、もはや俺は水面にいる虫を腕で叩き潰しながら進んでいた、虫どもの奇妙な色の血と、全身から流れ出た俺の真っ赤な血が交じり合って、海はさらに怖ろしい場所へと姿
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