BURN/ホロウ・シカエルボク
?俺はそのまま狂うよりは限界までもがいたほうがマシだと滅茶苦茶に腕を振り回す、もう脚はままならない、動かしたところで足の裏におぞましい感触が走るだけだ、水面を叩くたびに砂をばらまいたような音がする、俺は吸える限りの息を吸いながら、ただひたすらにそこから抜け出そうともがいている、これが本当に海なのか、滅茶苦茶に泳げば岸に辿り着けるのか、虫どもは陸地までは追ってこないのか―そういったことはなにひとつ分からなかった、だから俺はもがくしかなかった、動かずにいればあっという間に飲み込まれてしまうに違いない、なにもしないことは愚かだ、いつだって、どんなときだって…それは俺が自分の人生において唯一学んだことだと
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