フロントガラスにちいさな蝶が止まった/ただのみきや
 
から覗き見るトンボたち
視線を交わしたわたしは万華鏡に閉じ込められ
海辺のあばら屋へと運ばれて行った
そこでは屈葬された白骨を囲み水パイプが回された
道徳教師は言う「必要なのは知識ではなく自制なのだがね」
白い煙が竜のように踊り上りやがて女の姿でレゴンダンスを始めた
法律家は言う「表面化を減らし潜在化を増やすことなら可能ですよ」
筵を押し上げ大きな犬が半身を覗かせまた引っ込んだ
体育の教師は言った「強固な集団心理と上下意識で圧力をかけてみましょうか」
白骨の腕を持ち上げ自分の人指し指を振るような仕草をしながら
宗教家は「願望と絶望さえあればあとは証拠も証明も必要ありません」

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