鬼灯の袋が紅く色づく頃/こたきひろし
 


それからは母校の図書室で仕事した

二十歳の頃に縁あって七つ歳上の人と付き合い始めた
姉は一年後には婚約した

姉が頻繁に嫁ぎ先の家に泊まるようになると私は嫉妬した
姉を取られてしまうのが辛くて相手の男に怨みこごろを抱いた
姉には一から十まで面倒をみられて育った私は実の母親よりも思い入れが強かったのだ

汚れた頭髪や体を風呂場で洗って貰ったり
その時は姉もスッポンポンだった

その時すでに姉の体は女の体になっていたのに弟の前ではばかる事は微塵も見せなかった

姉は婚約者の家に通う間に子供を身籠った
それは自然の摂理だったんだろう
産まれる前に籍をいれると嫁ぎ
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