鬼灯の袋が紅く色づく頃/こたきひろし
 
一杯に働いていた
五人の子供を作りなからその面倒はほぼ祖母任せだった
早くに寡婦になった祖母は私が小学校にあがる頃に便所で倒れその日には息を引き取った
その時代の医療体制は遅れていて救急車などなかった

遠くの診療所から医者と看護婦はそれぞれ自転車に乗ってやって来た時には
家族の見守る中で祖母はすでに息を引き取った後だった

それから後の子供らの面倒はいちばん上の姉に委ねられたのだ

姉はその役目を実によくしてくれた
姉の下で四人は1つに束ねられたのである

そのせいだろう
彼女はまるで鋼のように心がうち鍛えられていた
芯の強い女のこになっていた

それに引き換え
[次のページ]
戻る   Point(3)