201912第二週詩編/ただのみきや
?)は当たり屋ではなかったが 同じころ
オレンジ色のTシャツで自転車をこいでいた
少女が子猫を轢いてしまう
彼女はオリーブ色の目をしたイタリヤ人だったが 同じころ
少年が空き缶を立て離れたところから石を投げ入れていた
全部入ったら彼女を下心のあるデートに誘うつもり
彼はクリミア人だったが 同じころ
売れない詩人が占い師を訪ねたが
占い師もまた当たらないことで有名だった
「オタリアを飼いなさい」 同じころ
当たり屋のわたしに宝くじが当たる
換金に往く途中リアルに轢かれてしまい
以降当たり屋をリタイアすることになる 同じころ
霊安所で得体の知れない遺体が二体
撃った撃たれた
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