201912第二週詩編/ただのみきや
 

大きな白い蛾が飛んでいた
あなたの魂は自由に暗闇を行き巡る
麝香のような匂いをさせながら

廃棄物のように黒々と
沈黙した二つの塊
猫が爪を砥ぐ音を聞いている
鼠の心音すら聞こえるほどに

わたしたちは自分の影以外
二度とセックスしない
互いを美しい魔物として描き出し
愛の残り香を
鉛筆の濃淡に嗅いでいる



詩は沈黙する
読後の戸惑いに

詩を読む時
誰もが盲人であり聾者である



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バビロン川の畔の柳の木には舌を掛け
しゃれこうべの丘には両手を架けた
今わたしの目は抉られて煮え滾る鍋の中で天を見上げ
耳は切
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