思い出/田中修子
千切れ飛ぶ肉のかけらのように
あんたのまなざしはあんまりに鮮烈でした。
全ての痛覚が理性を裏切って
視線のそそがれるところに走りこんでゆきました
ひとつでも多く、痛みを甘受するために。
あんたのまなざしは、あんまりにも、
私にとって美しいものでした。それはそれはあまりにも美しいものでした。
「とむらい」
私が死んだら
人の訪れぬ山奥にあお向けに寝かせてほしい
できれば林の中がいい
目を開けると
木漏れ日がキラキラするようなところがいい
そして私を愛する人は
墓守りになって私の隣に眠ってほしい
たくさん
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