思い出/田中修子
 
さんの傷口から
虫たちは体に潜り込んでくれるだろう
死体の
冷たい体を暖めるようにして愛撫してくれるだろう

やがて腐りかけた死体の上に
一粒の種が落ちるだろう
ふるふると根を心臓に延ばしてくれるだろう
いつしか双葉を出すだろう
だれも支配できなかった私の体を
優しく支配して私は体の力を抜くだろう

だから

私が死んだら
人の訪れぬ山奥にあお向けに寝かせてほしい
できれば林の中がいい
目を開けると
木漏れ日がキラキラするようなところがいい

<中学校のころの作品に少し手をいれたりいれなかったり。
こちらに記録させていただきます>
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