偕老同穴/Seia
ないと書かれたプラカードを
掲げているひとたちのなかで
寝転んでしまえば
白いシャツに足跡がつくだろうか
おそらく感じるであろう痛みを
言葉に変換できるだろうか
それとも
居なかったことにされるのだろうか
いままでと同じように
無数のひとの頭で縁取られた
空を見上げて
井戸水に映る月はゆらぎ
常にかたちを変えてしまうから
満月でも三日月でも
あまり意味のないことのように思えた
洗面器に映る照明はゆらぎ
常にかたちを変えてしまうけど
それははじめからどうでもいいことだった
あたまの中でひるがえる水面を
くしゃくしゃに丸めて
もういちど落としてみる
地球の
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