窓/宮内緑
どほどに
自室へもどると、外をうかがい窓をそっと開けたのだった
いつまでもはしゃいでいたい気持ちはわかるけれどもと
母は子の気持ちを推し量ったつもりでいう
肘笠雨のようなものだった
鬼の面をやむなくかぶる母をおもい林檎色のほっぺは神妙に揺れている
ふいに節分の鬼を思い出し、あわてて唇を結ぶ
けれどもこの大雪はどうだろう
隣家の屋根雪をすくいあげて吹雪はすさぶ
少年はもう片方の心で雪の冷たさをおもった
あかぎれの奥へしみ入るような冷たさをおもった
少年は知っていたのだ
***
夜更けをすぎて舞いはじめたものが、朝にはすっかり吹雪いていた
いまではどこを翔
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