きよらの賦/宮内緑
いその日まで
きっとひとりでいてくれると
あなたは炎えるようにあかかった
それで私は赤色が一遍に好きになった
夕べとよばれる瞬きを
川原の石でも足りないくらい数えた
秋とよばれる刹那には
紅葉(もみぢ)の筏をたくさん川下へおくった
水引の花も 川蜻蛉の翅も
婚姻衣装の錦鱗も
私が育んだと いつかあなたに誇りたかった
あなたにそっくりな色を
ずっと数えて待っていたんだよと
いつか伝えたかった
その日までただ励めばいい
どこまでも澄みやかにいればいい
いつかあなたとふたたびであい
おもいをうち明けられる日には
きっとわたしをみと
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